【阪本研究所】 SK laboratory 代表 Kazuyoshi Sakamoto

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『2つの洪水物語?』 聖書を通して英単語の研究 アルファベット26文字の心

アルファベット26文字


アルファベット26文字にはそれぞれの文字自体に意味を持っています。その説明については以前の記事で説明しております👇






アルファベットの歴史と深く関わる「聖書」


アルファベットの歴史を語るとき、「聖書」とシェイクスピアの英語を抜きにして語ることは困難です。



特に「聖書」は、「翻訳英語」である事実をよく認識する必要があります。






「聖書」の英語を他の文献の英語と同じように取り扱うとアルファベットの歴史の説明をゆがませたり、誤った結論を導き出すことになります。



また、「聖書」の英語を研究する場合、新約聖書の前の「旧約聖書」の理解が必要です。



しかしながら、新約聖書の原典の言語は古代ギリシャ語であり、旧約聖書の原典の言語はヘブライ語です。






文字の形からギリシャ語訳聖書やラテン語約聖書の認識は馴染みがあるとしても、ヘブライ語の文字は日本人には馴染みがありません。



「旧約聖書」は下記の5つの書から始まります。



1.「創世記」
2.「出エジプト記」
3.「レビ記」
4.「民数記」
5.「申命記」







「旧約聖書」において、天地創造の物語や洪水物語では整理されず、入り混じっており読む際に注意が必要です。







◆ なぜ2つの洪水物語が用いられるの?



大洪水(だいこうずい)は、天誅として文明を破壊するために神々によって起こされたとする神話・伝説上の洪水を指します。




大洪水(洪水神話、洪水伝説)は、世界の諸神話に共通して見られるテーマであり、聖書(旧約聖書)『創世記』のノアや「ノアの方舟」、インド神話、ヒンドゥー教のプラーナのマツヤ、ギリシャ神話のデウカリオーン、および『ギルガメシュ叙事詩』のウトナピシュティム(英語版)の物語は、よく知られた神話。過去現在の世界の文化のうち大部分が、古い文明を壊滅させる「大洪水」物語を有しています。





その一方で、古い文明を破壊させ、一掃し、新しい文明が生まれるというプラス面として用いられることもあります。
 




◆ なぜ「旧約聖書」に2つの洪水物語?  


さて、長い「洪水の物語」ですが、よく読んでみると、いくつかのことが重複して語られていたり、あるいは前に語られている違う部分があることに気づきます。




箱舟に入った動物たち(6章の19節)



6章の19節以下、箱舟に入った動物たちについては、
全ての動物たちの中から雄と雌との二つずつ、つまり一番い(つがい)でした。



しかしながら、7章2節以下には、清い動物を七つがいずつ、清くない動物を一つがいずつ、と書かれています。



また、8、9節には「清い動物も清くない動物も、鳥も地を這うものもすべて、二つずつ」となっています。15節もそのようになっています。





◆ 洪水の期間(12節)




洪水の期間も、12節には「雨が四十日四十夜地上に降り続いた」とあり、17節には「洪水は四十日間地上を覆った」となっています。



8章の6節には、四十日たってノアが箱舟の窓を開けて烏を放ったことが語られています。



この「四十日たって」の意味については、その前のところからのつがなりではよく分かりませんが、今の7章17節の続きと理解して読めばつながります。



「四十日間降り続いた雨が止んだ後も四十日間洪水は地を覆った。そして、その四十日が過ぎた後、烏を放ってみた」ということになるのです。







◆ 二つの別々の物語を一つにくっつけたのでは?



しかしながら、7章24節には、「水は百五十日の間、地上で勢いを失わなかった」となっています。



8章3節にも「水は地上からひいて行った。百五十日の後には水が減って」となっています。



洪水が地を覆っていたのは四十日なのか百五十日なのか、分からなくなってしまいます。



また7章11節には、洪水が始まったのはノアの生涯の第六百年の第二の月の十七日だと言われています。



そして第8章13、14節には、地上の水がすっかり乾いたのはノアが六百一歳の第二の月の二十七日となっています。



つまり洪水の期間はまる一年とされているのです。



四十日の雨とその後四十日水が地を覆ったというのと比べるとずっと長い期間です。



このように、洪水の期間について、矛盾することが語られています。




これらのことから、この洪水の物語は、二つの別々の物語を一つにくっつけたのではないかと想像します。






◆ 8章7節の、「烏を放した」?「鳩を放した」?




二つの別々の物語を一つにしたのでは?もしくは、そうなってしまったのか?と思えるもう一つの個所は、上述の8章7節の、「烏を放した」というところです。



そのすぐ後に「鳩を放した」という話があり、烏についての語り方と鳩についての語り方では、かなり違います。




この部分も別の物語だったものがくっつけられて並べられているのでは?と想像します。







◆ 「ノアの洪水の物語」も二つの別々の話?



第一章と第二章の「天地創造」の物語においても、二つの別々の話が並べられているところがあります。






それと同じことが、「ノアの洪水の物語」にもあると思われます。




ただ、その二つの関係については、学者の間でも説はいろいろあるようです。



全く別の二つの話が存在していて、それらが混ぜ合わされてこのようになったのでは?と考えるよりも、先ず一つの話が生まれて、それが後に別の視点から、または新たな主張を加えるために改訂されたのではないかと思います。



例えば、上述の「洪水の期間」などについては、四十日の雨とその後四十日水が地を覆ったという話が先にあり、それが後から、洪水の期間を丸一年とする改訂が加えられたのだと推測します。



もしかすると、この洪水が丸一年世界を覆ったと語ることによって、この世界が全く新しくされたということを表わそうと考えたのかもしれません。







◆ 創世記の洪水物語の独自性



 このように、この「洪水物語」は、今のような形になるまでに変遷があったと思われます。



こういうことは旧約聖書の多くの個所に見られますので、注意して読む必要があります。



旧約聖書の学問的註解書を読むと、学者たちがいろいろと議論し、様々な説を唱えていることがわかります。




この「洪水物語」は、古代の中近東世界に広く言い伝えられていた洪水伝説でした。



ギルガメシュ叙事詩」と呼ばれるバビロニアの神話にも似たような話があるということがよく指摘されます。






他の民族にもあった伝説が、イスラエルの民の信仰の中で、独自な物語へと形を変えていったのだと思われます。



その独自性を読み取ろうとすると「旧約聖書」の理解が深まります。





◆ 安易に結論づけてはいけない


上述の切り替えしになりますが、特に「新約聖書」は、「翻訳英語」である事実をよく認識する必要があります。



「聖書」の英語を他の文献の英語と同じように取り扱うとアルファベットの歴史の説明をゆがませたり、誤った結論を導き出すことになります。



例えば、下の引用は、中英語期にラテン語訳聖書から訳されたWycliffe (ウィクリフ約聖書)ものです。







ρe hill of sion in whiche ρou dwelledest in it



= the hill of Sion in which you dwelled in it



聖書における中英語期の英語だけを研究して、関係代名詞の「前置詞+指示代名詞it」のitは、「中英語のときに重複されていたものが現在の英語に至る途中で消滅した」と単純に結論づけるのは間違いです。



上記のように、中英語期よりも以前にで既に「前置詞+指示代名詞it」のパターンは使われていたことがわかります。当時、ラテン語訳聖書の表現を可能な限り忠実に再現しようとした表れだと思います。






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■ Kakure Kirishitan (Japanese: 隠れキリシタン)👇





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