kazu4000のブログ / 読書日記

語学系、歴史関係とフェチな本が好きです。
本は図書館から借りてます。常に何か読んでいる活字中毒です。

書籍:「誤訳の典型」

この本も図書館で借りました。
今は様々な英語の誤訳の解説本が販売されていますが、その多くが日本人がよく間違う英語をおもしろく取り上げた本です。しかしながら、この本はそのようなタイプの本とは違います。昭和チックな表紙のイメージから高度で難しい内容かと思いましたが、そんなことはなく読みやすい言葉で書かれていて、詳細にかつ論理的に誤訳を指摘しきっちりと解説しています。


面白いと思ったのは、著者は下記のObamaのinaugural adressを用いて下線部の翻訳を新聞A,新聞B、英文週刊誌、CD付対訳書A,CD付対訳書Bなどがそれぞれ間違って翻訳していることを指摘し、正しい翻訳を詳しく解説しています。


このForは「理由」を表す接続詞として翻訳すべき箇所であり、「なぜならば、政府ができること、しなければならないことはたくさんありますが、」と訳さなければならない。



And yet, at this moment, a moment that will define a generation it is presisely this sprit that must inhabit us all. For as much as government can do and must do, it is ultimately the faith and determination of the American people upon which this natiin relies.



新聞Aの場合:
「なぜならば、政府ができること、しなければならないことをするにせよ、」


新聞Bの場合:
「政府はやれること、やらなければならないことをやるが、」


英文週刊誌の場合:
「政府がやれること、またやらなければならないことに対して、」


CD付対訳書Aの場合:
「たしかに、政府にできること、やらなければならないことはあります。」


CD付対訳書Bの場合:
「政府はできるかぎりのことをして、可能なかぎりのことはやらなければなりませんが、」



まあ、ひどい翻訳です。新聞Aの翻訳はまだましかとは思いますが、それ以下は適当に考えて訳している内容です。CD付対訳書においては、日本語としても変です。(笑)


ただ、自分も同じような誤訳をしてしまうと思います。なぜなら、Obamaがこの演説で言いたいことは、
” the faith and determination of the American people”の重要性なので、このセンテンスだけに集中して
つい、挿入文のようなFor以下の下線部は適当に訳してしまうと思います。 日頃、会社などでも時間が限られている中、大量のメールを読んでどんどん処理する必要があるため、大意だけをとる習慣がついてしまっているのだと思います。でこのような本で英文をじっくり1つ1つの単語をかみしめるように訳す癖もつける必要はあると思います。その意味でこの本は英語を学ぶ人にとって読む価値がある本だと思います。