kazu4000のブログ / 読書日記

語学系、歴史関係とフェチな本が好きです。
本は図書館から借りてます。常に何か読んでいる活字中毒です。

書籍:「言語帝国主義とは何か」

これも図書館で借りました。読む前にタイトルから硬い難しい本かと思いしたが、そうでもなく、グローバリズムによってもたらされた英語の支配を多角的に分析した内容です。日本人学者と他国の学者が執筆しているので内容は多様性が富んでいます。
「言語帝国主義」と聞いて思い出すのは、学生時代の大学の英語の授業です。「言語帝国主義」とは、ある地域で特定の外国人が、その政治・文化・軍事力により圧倒的な影響を持つこと。言語を強制させるとその国の文化かも何もかも奪ってしまうことです。その程度だけ覚えています。


この本の中で個人的に特に興味を引いたのは、【旧仏領アフリカにおいてアフリカ諸言語はどのようにして「復権されるのか?」】の論文です。この論文のタイトルで旧仏領アフリカは具体的にセネガルを指してします。自分は過去に出張でセネガルへ数回行ったことがあります。現地の人と英語を使ってのコミュニケーションがまったく通じなかったこと、それならばと、なんとか覚えた少しのフランス語で話かけても、現地では上級公務員など特定層にしかフランス語が通じなかった事があります。その経験があったので、この論文を読んで、その当時のことを思いだしました。この論文でも今だにフランス語は定着していないことが書かれていました。


また、この本の第三章の「言語と権力」では、「サイバースペース多言語主義」についての論文があります。これも読んでみると興味深い内容です。


この本の体裁から全体的に難しい内容かと思いましたが、実際はとても読みやすく、教科書のようにキーワードは太文字になっていて、各ページにそのキーワードをページの下に書いてあるので先にここを読んで全体の意味をつかんでから読むことができるので、この本は雑誌のように一挙に読み上げてしまいました。この本は図書館で借りたのでもう買うことはありませんが、もし本屋で見つけていたら買ったかもしれません。
外国人の論文については、当然ながら翻訳者の腕前によるので、ちょっと表現がわかり難い部分もあります。



植民地時代とポスト植民地時代の言語支配
三浦信孝
【言語帝国主義を発見原理として】
序 母語・国語・国家語
言語生態学の重層的 〈中心・周辺〉 モデル
ルイ=ジャン・カルヴェ
訳 西山教行
言語と民族は切り離し得るという、 言語帝国主義を支える言語理論
田中克彦
I 言語帝国主義の類型 【日本語・英語・フランス語】
日本の言語帝国主義
小熊英二
【アイヌ、 琉球から台湾まで】
帝国日本の言語編制
安田敏朗
【植民地期朝鮮・「満洲国」・「大東亜共栄圏」】
日本語の近代化をめぐって
パスカル・グリオレ
【大日本帝国の公用語と片仮名の機能】
英語帝国主義の過去と現在
ロバート・フィリプソン
訳 臼井裕之
共和国の言語同化政策とフランコフォニー
三浦信孝
フランス語は 「フランス人」 を創出するか
西山教行
【植民地帝国におけるアリアンス・フランセーズの言語普及戦略】
II 少数言語の抵抗
クレオール語圏の言語生態学と言語政策
ジャン・ベルナベ
訳 恒川邦夫
クレオール、 クレオリザシオン、 クレオリテ
恒川邦夫
アラビア語化の中のベルベル語
サレム・シャケール
【マグレフ、 とくにアルジェリアの場合】
訳 鶴巻泉子
旧仏領アフリカにおいてアフリカ諸言語はどのようにして 「復権」 され得るのか?
砂野幸稔
【セネガルの事例から】
ロマニ語の言語政策
マルセル・クルチアッド
【複数国家に散住する少数民族の対応】
編訳 永田潤
イヌイットと近代化の選択
ミシェル・テリアン
【造語法という武器】
訳 定松文
カタルーニャ語と朝鮮語 ―― 同じ闘い
アンドレ・ファーブル
訳 佐野直子
少数言語復興運動の日欧比較
原 聖
III 言語と権力 【ヘゲモニー・言語権・公共性】
言語ヘゲモニー
糟谷啓介
【〈自発的同意〉 を組織する権力】
言語権の現在
トーヴェ・スクトナブ=カンガス
【言語抹殺に抗して】
編訳 木村護郎
欧州地域語少数言語憲章は憲法違反か
サレム・シャケール
【言語政策演習】
訳 佐野直子
インターネット時代のアジアの言語
西垣 通
「国語」 と言語的公共性
イ・ヨンスク
南北朝鮮間の言語問題
キム・ハス
訳 イ・ヨンスク
金時鐘の詩と日本語の 〈未来〉
鵜飼 哲