【阪本研究所】 SK laboratory 代表 Kazuyoshi Sakamoto

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【国際売買契約書作成】Trade support of Import & Export / Making business contract (2) 解説(WORDで作成した契約書サンプルがこの記事にあります。)

国際売買契約書作成 Trade support of Import & Export / Making business contract (1) の「Export Agreement」の解説です。





表題・前文


This Agreement…… WITHESSETH THAT:


This Agreement entered into… as “Buyer”までが長い主語、WITHESSETHが動詞で、THAT以下が目的語になります。
「本契約は、以下のことを証する」
*WITHESSETHは、witness(証する)の語尾に-eth(古典英語の活用形)をつけたもの(三人称現在形)です。


そして内容的には、本契約の最後にある「IN WITNESS WHEREOF」(上記の証として)に続いて、「当事者の署名により本契約は本文の内容を証する」で締めくくります。


entered into (締結された~)
本来なら” This Agreement” と“entered ”の間に、関係詞のthat or which +be動詞があるはずですが、英文契約書の伝統的なスタイルで省略されています。


WHEREAS
この言葉自体には意味はりません。しかしながら、この言葉のあとに、契約に至る経緯や背景や両当事者の動機などを明記する場合があります。



第1条 目的


hereinafter この契約の以下では
hereto この契約の後に
hereはthis Agreementを指します。従って、hereunderと言えば、”under this Agreement”(この契約にて)の意味になります。


一般的に「目的」が第1条に置かれます。



第2条 個別の契約


shall ~しなければならない *may「判断をまかせる」*will「~と合意する=agree to」
subject to ~に従って 契約書の中で条件を付けるときに用います。
set forth ~を規定する、~を説明している *stipulated in ~に規定されている
term, condition 条件 
 同じ意味の単語で語源が違うものを並べて、当事者間の解釈の相違を防ぎます。
parties 両当事者
 単数のpartyは、契約の片方の当事者。
*英文契約書を作成する上で、この単語の単数、複数は要注意です。


このサンプルの英文契約書は継続的に取引する「基本契約書」です。これで大枠を取決めしておき、毎月の注文等は「個別の契約」になります。注文書等がこれに当たります。


そして、この「基本契約書」では、個別の契約と矛盾が生じた場合、基本契約書の内容を優先することを規定しています。



第3条 Payment 支払条件


支払い方法と時期を明確に明記することが重要。例えば、電信送金(T/T)の場合でも、商品発送前の支払いとなるAdvance Payment(前払い)、商品発送後の支払いDeferred Payment(後払い)にするのかで優劣が違います。しかしながら、この支払条件は、両当事者間、つまり売主と買主では立場が異なりますので、主張が異なります。


Uniform Customs and Practice for Documentary Credits 信用状統一規則
the international Chamber of Commerce 国際商業会議所
a letter of credit (L/C)信用状
貿易取引における銀行の支払保証状で、その取扱いは国際商業会議所の発行している信用状統一規則に従って運用されています。


partial shipment 分割船積み
買手の注文数量につき、分けて船積みを行うことです。


transshipment 積替
途中の中継地で一度、荷卸しを行い、次の船舶などを待って荷積みをし、目的地に運送する方法です。
valid 有効な 契約の有効期間を意味します。
expiry 満期 expiry date期日の満期を意味します。
issuing bank 信用状開設銀行 opening bankとも言われます。
*advising bank 通知銀行 *negotiating bank 買取銀行


draft 為替手形 bill of exchangeとも言われます。
為替手形の支払い時期は、2つに大別されます。
At sight 一覧払い
Usance 期限付き払い
At 60 days after sight 一覧後60日払い
At 60 days after B/L date 船荷証券発行日後60日払い



第4条 船積み及び契約品のリードタイム


shipment 船積み 輸出地の国際輸送開始時点を指します。
*delivery 輸入の目的地への貨物到着を指します。
船積み費用と危険の範囲と明確に決めるため、国際的にインコタームズが用いられます。
F.O.B(Free On Board) 本船渡し条件


provided 但し *契約書の中ではifと同じ意味になる場合があります。



第5条 価格及び諸経費


currency 運賃
for the account of ~の勘定で



第8条 検査
according to ~に従って


Should any specific inspector be designated by Buyer
特定の検査人が買手によって指名される場合
この文は、If any specific inspector be designated by Buyerの意味で、倒置によってifが省略されたものです。


第9条 所有権


title 所有権
売契約における相手方への所有権の移転は、インコタームズの貿易条件では定まらないので、契約当事者間で契約書に明記しておく必要があります。
特に、売手の場合、買手が代金の支払いを完済してから、所有権を移転する文言を契約書に入れることが重要です。



第10条 クレーム


detective 傷のある、瑕疵のある
be deemed ~とみなされる
waived 放棄する
liable for ~に責任を負った
damages 損害賠償 (注)単数は「被害」複数が「損害賠償」


クレームは、契約の相手方に対して取引上の商品等の不具合について是正・修正を求める請求権です。売手が原案を作成する場合は、買手によるクレームの権利行使の期間を明示し、クレームする場合の方法(例えば書面)を限定するようにします。これは、買手による不当なクレームの権利行使を防止するための方策です。


実際のところ、問題になるのは受入検査後、倉庫に保管し顧客に販売するときに瑕疵が発見されることです。この条項と「検査」の条項は、契約書の文章を相互的によく確認しておく必要があります。



第11条 不履行


default 債務不履行
当事者が契約を結んだにもかかわらず、契約実行の遅延や不完全な実行、又は契約不実行などが契約当事者の責任により発生して違法行為となっている場合の対処についての条項です。


cancel 解除
契約が債務不履行となったままでは売手は困るので、売手は1つの権利として解除権を行使することができます。もちろん契約解除によって売手は買手に損害賠償を請求できます。



しかしながら、契約書上はいくら明記されていても、売手に不履行をされると買手にとっては何も良いことはありません。買手が売手から輸入する製品使って展示会でプレゼンするような場合、売手がその製品の出荷日の約束を履行しなければ、買手は営業的に大きな損害を受けます。損害賠償を請求し、金銭的に補償させても買手の顧客に対する信用は失うことは後々おおきな問題となります。
「不履行」の条項を明記することは心理的な抑制が働く程度ですが、重要なことです。



第12条 契約期間


契約書には、単なる1回限りのスポット売買契約を除き、契約の有効期限を明記します。契約の締結日からその有効期限内につき、契約当事者は当然その契約内容に拘束されます。
 しかし、契約者の一方が契約内容を不法に履行(実行)しない場合や、履行したとしても不十分な場合など、他方の契約者を拘束するのが不合理ということになれば、いつまでも契約にしばりつけるのは無意味なので、契約を解除して、契約期間を満了させてしまうことも記載することが必要です。
友好的な取引が数年継続した場合、後に自動更新の形に契約書内の文章を修正するのも1つの方法です。



第13条  商標の使用


be granted the right 権利を付与される
upon termination 終了時に
aforementioned 前に述べた、 前述の
consideration 対価、約因 *通常の英文では「考慮」ですが、契約書では「対価」になります。



第14条  特許など


infringement 侵害 契約当事者の持つ権利に対する侵害という意味です。


construe ~を解釈する
「法律を解釈する」というような場合に使用されます。



特許権などは重要な知的財産権です。日本企業として海外取引を行う場合に相手国側での特許権等取得についても慎重に検討することが必要です。
この条項に関しては、別途、「知的財産ライセンス契約」「機密保持契約」などを締結しておいた方がよい場合があります。




第15条  製造物責任


Products Liability 製造物責任
indemnify 補償する、賠償する、補う
hold harmless 免責する
negligence 怠慢
misconduct 不正行為



特に米国などの先進国向け取引では、製造物責任訴訟に対抗するために、輸出用の製造物責任保険契約を追保することも重要です。





第16条  秘密保持


confidentiality 機密保持、守秘義務
best endeavours 最善の努力



売手と買手の間では、商品に関する様々な情報につき、契約期間及び契約終了後の一定期間、その秘密を守るように契約します。もちろん大衆に対して公知となっている情報は守秘義務の対象とはなりませんが、それ以外の情報については契約当事者以外に漏れないようにします。また、守秘義務に違反した場合には、契約解除及び損害賠償の請求ができるように他の条項との調和を含め、全体的に契約書をチェックすることが必要です。



第17条  解除


prejudice 不利
通常は「偏見」という意味ですが、契約書では「不利」です。
legal redress 法的救済
entitle 権利を与える、求償権を有する
provision(s) 法律などの規定



契約それ自体が履行されない場合には契約の解除を行うことができます。本契約自体に問題がなくても、契約の相手方の破産や相手方企業の解散によって通常の取引が困難になって場合、本契約を解除する方がよいケースも考えられます。従って、様々な困難を具体的に想定して契約解除の条項を作ることが必要です。




第18条 仲裁


Arbitration 仲裁  *arbitrator 仲裁人 *plaintiff 原告 *defendant/respondent 被告


The Japan Commercial Arbitration Association 日本商事仲裁協会


仲裁は裁判と違って、契約当事者の書面等による合意の下に行われる私人(仲裁人)による私的紛争解決方法です。
私的な紛争解決方法といっても、日本では仲裁法という法律が存在しており、仲裁の手続きはこの法律に従って処理されます。
企業間での紛争において、裁判は原則公開となっていますが、勝訴するために企業秘密たる証拠の提示が必要となる場合は、企業にとって不都合になることもあります。しかしながら、
仲裁は非公開を原則としているので、企業秘密を守ることができます。
また、国際業務に精通した人が仲裁人として選任されることで、特殊専門分野にも柔軟に対応できます。
仲裁の裁定内容については、日本と外国との間で国際条約に加盟していれば、外国において強制執行も可能となります。このような理由から、海外取引の紛争解決手段として、仲裁という方法はよく利用されます。
仲裁は原則として1回のみで決着をつけるので、時間的な短縮が可能です。(日本の裁判は三審制)しかしながら、たった1回の仲裁審理によって決まるため、不当な裁定が出ても、原則としてその結果を受け入れなければならないというデメリットも知っておきましょう。
さて、仲裁条項には、仲裁機関、仲裁規則及び両当事者が仲裁判断に服する旨を書面合意として記載します。日本では日本商事仲裁協会を仲裁機関として、その規則を適応することが多いようですが、当事者が仲裁法廷を設けて行うアド・ホック(AD-HOC)方式もあります。


さて、相手が相手国の仲裁機関及びその仲裁規則を適用すると言って契約を譲らない場合はどうすればよいのでしょうか。
第三国の仲裁機関・規則に従うというのも1つの方法ですが、被告地主義で決定するのが、両当事者にとって公平と考えられます。
被告地主義というのは、日本企業が相手方に不満があって申立てを行いたい場合には、相手国の仲裁機関・規則にて紛争解決を行い、反対に相手方企業が日本企業に対して不満があるときは、相手方は日本の仲裁機関に申立てを行い、日本側が指定する仲裁規則に従って解決を行う方法です。但し、この被告地主義を採用する場合は、両方で仲裁申立てが行われる可能性もあるので、受理の早い方を優先するなどの規定を契約書内の明記しておくことが重要です。
また、仲裁ではなく、国家機関たる裁判所を利用する場合は、どの国・場所の裁判所を使うのかを両者で合意します。



契約の紛争解決を裁判で行う場合の、裁判所の裁判管轄(Jurisdiction)に関する条項は以下の通りです。


ところで、仮に契約当事者が特定国の特定裁判所において紛争解決を行うと定めても、その特定国の民事訴訟法による所属管轄の有無などによって否定される可能性もあるので注意が必要です。



Jurisdiction


Each party hereto agrees that the Osaka District Court in Japan shall have competent and exclusive jurisdiction for the first instance over any lawsuit in connection with this Agreement.


裁判管轄
両当事者は、本契約に関するいかなる訴訟も、日本国の大阪地方裁判所を第一審の管轄権を有する専属裁判所とすることに同意する。











第19条 不可抗力


Force Majeure 不可抗力  Act of God ともいいます。


be bound to 必ず~しなければならない
  


両当事者が契約で締結した内容を実行しようとしても、地震や台風などの天変地異によって契約を履行できないことがあります。そのような事態に備えて、契約をどう処理するのかを定めたものが不可抗力です。
本来、天変地異などにより契約内容が実現できない場合は、契約の当事者には責任はないので、契約不履行の責任である損害賠償責任を負うことはありません。
しかしながら、国際間の紛争を未然に防ぐ目的で、不可抗力による対処方法を契約書に明記します。



第20条 分離可能性


Divisibility 分離可能性
両当事者の締結した契約内容が国家機関たる裁判所によって契約内容の一部無効が宣言された場合でも、その一部無効の契約規定を除いて、それ以外の契約規定は有効とする定めです。


国際条約では、裁判所や仲裁の判断において、一定の契約条項について無効と判定される場合があります。この場合、その一定条項のみが無効として扱われるのか、又は、契約全体が無効と扱われるのかによって、契約当事者の権利・義務の内容が大きく異なってきます。


そこで、この条約を置くことによって、裁判や仲裁によって一部の条項が無効と判断されても、それ以外の条項は有効として取扱うことにより、契約内容の法的安定性を確保する役割を負っています。


第21条 譲渡


商品に関する販売・購買の権利は商権(Sales right, Purchase right)と呼ばれ、1つの大事な財産権です。
ところが、例えばこの財産権が旧買主から新買主というように譲渡されると、売手との信頼関係のない新買主との間では取引がうまくいかず、売手が不測の不測の損害を受ける場合があります。その一方で、売手から見て新買主の方が財政的によいならば、旧買主から離れる方が得な場合もあります。
いずれにしても、売主の知らない間に旧買主が勝手な商権の譲渡をしてしまっては売主が困ります。
そこでこのような条項を定めることで、権利の譲渡に歯止めをかける方法が規定されるのです。



第22条 通知


契約が問題なく履行されている間は、両当事者はお互いに信頼関係で結ばれているため、コミュニケーション自体スムーズに行われているのが普通です。
しかし、いったん契約不履行などの問題が生じると、契約当事者のコミュニケーションは悪化します。例えば、契約の一方が他方に対して解除を通知しているのに、他方は知らぬふりをすることがあるのです。
そこで、非常時における契約当事者のコミュニケーションの方法やその内容を事前に取決めし、契約書の文章に入れておく必要があります。



第23条 貿易条件および準拠法


Government Law 準拠法
契約書の解釈の疑義がある場合の解釈をどの国の法律に基づいて行うかを定める規定です。


be interpreted 解釈される



準拠法(Government Law)について
契約書の内容の効力や解釈について疑義が発生したときに、いずれの国や領域の法律を適応するのかを定めるのが準拠法の条項です。
例えば、「損害賠償」という言葉の解釈について、日本法では被害者の個人的な被害、つまり病院での治療費や精神的苦痛に対する賠償が対象になります。しかし米国の州法では、「損害賠償」は被害者個人の損害をカバーするだけではなく、社会的な損害をカバーする「懲罰的損害賠償(punitive damage)」が認められており、日本法と異なっています。
日本人や日本企業によっては、もちろん日本法が好都合ですが、しかしながら、相手方は当然ながら相手方の国の法律を準拠法とすることを求めてきます。
このような場合は、本契約にはあえて準拠法を定めないでおき、紛争が生じてから解決機関などに委ねる方法と、本契約において日本と相手国のどちらでもない第三国法を準拠法として定めるという2つぼ方法があります。
最近では日本でも米国ニューヨーク州やカリフォルニア州の弁護士資格を持った日本人弁護士も増えてきていますので、外国法の調査が日本でも十分できる場合は、第三国法を準拠法として定めることも考えられます。


また、第18条の仲裁との内容的に調和がとれているかもチェックする必要があります。



第24条 適用言語


契約書を締結する際に、我々日本人や日本企業の場合には母国語である日本語が一番有です。しかしながら、相手方が日本語を理解できないこともありますし、また、ある程度理解できても、相手方の言語を契約書の適用言語として要求してくることもあります。
やはり、世界的にみて、英語が海外取引の現場でも一般的に使われています。このような状況の中で2種類以上の言語を用いて契約書を作成する場合は、どの言語を優先して解釈するのかという優劣をはっきりさせておかないと、紛争時に問題が起こります。
そこで、例えば英語を契約書の適用言語と定めておき、その翻訳として他の言語、例えば日本語や中国語を使うという優劣をつけておくことが必要です。




第25条 完全合意


Entire Agreement 完全なる合意
supersede ~に優先する、~にとって代わる



売手と買手の両者は、基本契約を締結するまでの間に条件交渉を行いますが、一定の条項については譲歩したり、その他の条項については強く主張したりしながら交渉を進めます。
本契約締結後に、契約交渉時の事柄について蒸し返したりするなどの問題が起こらないよう、過去の契約交渉の内容はすべて水に流して、本契約の記載されている内容のみが両当事者の合意事項であることを宣言しているのが「完全なる合意」条項です。


但し、この「完全なる合意」条項も、本契約締結後に両当事者が書面で合意すれば、本契約を修正・解除することは可能です。






【阪本研究所】 SK laboratory 💠貿易業務サポート💠広告動画制作💠銘板制作販売 / 大阪府八尾市 Email ➡ kazuyishi.sakamoto10000@gmail.com


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 代表 Kazuyoshi Sakamoto
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